フェイシャルマッサージによるたるみ改善効果を実証 CT画像解析により筋膜と脂肪層の変化を確認―コーセー

株式会社コーセー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小林 一俊氏)は、加齢画像研究所ONI所長の奥田逸子医師らとの共同研究により、継続的なフェイシャルマッサージがたるみ改善に有効であることを明らかにした。
たるみと関連する皮膚深部の表在性筋膜や脂肪層の状態をCT画像により解析したところ、毎日のお手入れの際に簡単な顔面マッサージを2週間続けることで、表在性筋膜と脂肪層の幅が減少し、頬の位置がリフトアップすることが確認された。
この研究成果の一部は、皮膚の計測や画像化技術に関する学術誌「Skin Research & Technology」にて2022年4月にオンライン掲載された。

図1 今回のフェイシャルマッサージによるたるみ改善効果

◆研究の概要

加齢ともに進行する顔のたるみは、多くの人が感じている肌悩みのひとつ。
たるみは、皮膚深部にある表在性筋膜や表情筋、脂肪層などの顔面深部構造が加齢により変化することが原因の一つと考えられ、その対策として表在性筋膜をターゲットにした美容医療やエステ等でのマッサージが行われている。
フェイシャルマッサージによるたるみ解消効果は経験的に知られていたが、継続的なセルフマッサージ前後での顔面深部の構造変化を解析した研究はこれまでなかった。
同研究では、29~37歳の男女5名の被験者に1日2回、乳液を塗布しながらセルフマッサージを2週間継続してもらい、試験開始前と終了時に顔面CT画像を撮影した。
マッサージは90秒程度の簡単なもので、試験終了時のCT測定前にも同じマッサージを専門技術者の手により施した。
取得したCT画像から皮膚深部の表在性筋膜および脂肪層の状態を解析した。

◆表在性筋膜幅の減少

表在性筋膜は脂肪層の中に存在するコラーゲンやエラスチンなどから構成される厚さ約1㎜未満の非常に薄い膜組織。
肌の裏側から皮膚組織を支え、頬のたるみ防止に重要な役割を果たしていると考えられており、加齢とともにこの筋膜の緩みが進行することが明らかになっている。
仰向けの状態で撮影したCT画像を用いて試験前後の変化を解析したところ、左右の筋膜の最大距離である表在性筋膜幅が、試験後には5名中4名で減少し、引き締まっていることが分かった(図2)。
表在性筋膜幅の平均減少量は約1.2mm(平均0.94%減少)だった。
この結果から、同マッサージは、加齢とともに緩みが進行する皮膚深部の表在性筋膜を引き締める効果があることが示唆された。

図2 表在性筋膜幅の変化

◆脂肪層の厚み減少と頬の位置上昇

頬の脂肪層は、起きている体勢では重力により常に下方向に引っ張られているため、たるみ発生の重要な要素になっていると考えられている。
起きた状態で撮影したCT画像を用いて試験前後の変化を解析したところ、同一部位における脂肪層の厚みが平均で約0.8mm減少(平均3.7%減少)していることが分かった(図3;次ページ)。



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